Thunderbird 自転車旅行記

個人的なサイクリング旅の備忘録 サイクリングをしながら鉄道も楽しむ旅へ。よく駅に寄りながら線路沿いをサイクリングしています。現在、サイクリングと並行して駅のスタンプを収集中です。

大阪から城崎温泉まで自転車旅 ただし向かい風との闘い!!

いよいよこの時がやってきました。

受験後1発目のサイクリング旅でございます。やっとです!!この時を待ち望んでいました。

行きたくても行けないもどかしさからいよいよ解放されようとしています。


実はもうすでに試運転として姫路まで行ってきましたが、旅ではなくなんというか確認というか、とにかく旅ではありませんでした。なのでがっつり自転車に乗るのは本当に久しぶりです。


行き先は前回と同じく城崎温泉として、朝を迎えました。大変な旅になろうとは知らず……。




朝は5:00起床のつもりでしたが、こんな早起きは久しぶりで少しくらいいいだろうと布団にいると、いつのまにかいい時間が経ってしまっていたので急いで準備して出発。結局6時ちょうどに家を出ました。

思ったより寒いな……と薄着を少し後悔しながらも大阪市内を抜けていきます。結構朝から車が多いし信号もあるので流しながら惰性で走るくらいがちょうどいい。


途中、武庫川までは試運転で行った姫路のルートのままなので特に迷いなく。それにしてもほんとに着くのか?と常に疑問に思いながら進みます。こんな長距離は久しぶりで不安がすごい。体力も落ちてるだろうし。しかもなんかさっきから向かい風が強い。


思いの外武庫川沿いも混んでいましたが、とにかく進むことだけを意識して宝塚に到着。

そして峠越えです。この坂が結構しんどいと思いました。たしかに楽ではないけども、こんなにつらかったっけ?という感じ。まあでも少しでも、ちょっとでも、と登っていき、頂上の赤坂峠のバス停までたどり着きました。まだ目的地まで距離があって不安がすごかったです。この坂でこんなにやられるとは……。


城崎温泉は前日思いつきに近い形で行くことにしたため、風や天気はそこまで見ていなかったのでした。こんな時に限って、やっぱり風は向かい風、天気は雨の予報。えらいこっちゃ。特に向かい風は精神的にも肉体的にもつらいものがありました。風が延々と抵抗を受け続けてさすがに心が折れそうになりました。今日は1日中向かい風になりそうです。

……これは大変だぞ。


三田の吉野家で、朝ごはんをプラスで食べます。サイクリングと牛丼の相性はいつも思うけども抜群だと思います。暖かい店内はまさに天国以外の何者でもない。と同時に、ここから出たくないという感情が盛んに湧き出てくる。寒いときのサイクリングはこれとの闘いでもあります。




その後、三田を過ぎてアップダウンの区間へ。向かい風が強い。ただでさえ体力がないのに……。もうそれはそれは頑張った!


つらいのを耐えてなんとか篠山口まで到着。もうあんまり道中の記憶がない。たぶん3年ぶりで久しぶり。駅も駅前も特に何も変わっていませんでした。



近くのコンビニに寄った時、お湯のポットが目に入りました。これを水筒に入れれば……!この日は1日中曇りで気温があまり上がらず10℃ちょっとくらいで、肌寒いという言葉がしっくりくる寒さでした。上着はダウンではなくサイクル用の上着でちょっと薄めだったこともあり寒く感じました。このアイデアはなかなか良かったので今後も活用したいと思いました。体も心も温まります。


篠山口から丹波の市街地を抜けて鐘ヶ坂トンネルを目指します。相変わらずの向かい風が心をむしばむ。ここは気力でなんとか乗り切ります。走って、ちょっと休憩してまた走って……の繰り返し。とにかくきつい。体力をつけねば。


あんまりスピードが出ないなと思ったら、不意にトンネルが現れました。実は若干の上りのようでした。トンネルの中は下り勾配で、しかも風がなく暖かい。歩道も広い。ずっとトンネルがいいかも。


柏原の街に入ります。柏原の駅も前から変わっていませんでした。駅名看板の文字がいい。木造のどこか懐かしい駅です。



ここからは前回と違うルート。福知山経由ではなく、遠坂峠を越えるルートです。距離はこちらが近いためここまでの遅れを取り返せるのでは、と期待して選びました。
平地の大変さがいよいよやばい。が、もう帰ろうにも帰れない状況であるがゆえ進むしかないのでした。向かい風が今回はかなりつらい。


お店の多いところを過ぎると田んぼと家だけの景色になり、淡々と進みます。両側に山が迫ってきました。そろそろ何か食べたいところ。



ちょうど近くに道の駅があり、そこまではがんばることに。しかし案外距離がありました。頼りになるのは自分の気力だけです。この旅は何かの訓練なのか!?


ようやく道の駅に着きました。

道の駅あおがきというところ。

道の駅では天ぷらそばをいただきました。暖かいそばが体に染みます。うまい。ちょっと高かった気もするけど、場所が場所だから仕方がないです。

少しお土産も買っておきました。出石のそばや丹波の黒豆などが売られていました。大分休憩して体も休まり、しまいに眠くなってきました。帰りたい気がしたが帰れないので行くしかない。この心の葛藤は寒い日の宿命です。


いよいよ遠坂峠。最後のラスボス。序盤から体力も精神も残っておらず弱気でしたが、上るからにはがんばろう、と足つきなしを目標にして上りました。想像よりも斜度が緩く助かりましたが、それにしてもここまで走ってきた疲れがつらさを引き立てます。あと、思ったより交通量が多めでした。


継続は力なり。もう止まりそうでも歯を食いしばってがんばる。ちょっと足を休める時は休めて、もう一回粘る。この繰り返しです。1個目の峠よりは緑が多く自然を感じられるので気は楽でした。


そして、なんとか峠を越えました!

遠坂峠というところのようで、ここからは朝来市に入っていきます。


しばらく下りで回復。ここからは平地メインとなります。なんだか風も落ち着いてきました。これはチャンスだ!ようやくここで目的地まで行けるかもという希望を持つことができ始めました


9号線に合流。いよいよ山陰側にやってきました。

梁瀬駅に少し寄りました。山陰本線の駅です。スタンプがなかなかいいデザインでした。


「ヒメハナバチ舞う駅」


昆虫が駅スタンプになっていました。

ちょうど駅員さん(たぶん社員さんではなく委託された方だと思います)がいらっしゃる時間帯でしたけども、その窓口が歴史を感じるもので、木のフレームにガラスを挟み込んでいました。待合室も土間のような感じです。ゆったりとした時間が流れていました。


ICカードも使えないし、券売機もないし、自動改札機もない。エレベーターもない。もちろんエスカレーターなんてもってのほか。そのくせ車両の長さに対して十分すぎるほど長いホーム。けど、そんな駅に憧れたりもします。


梁瀬駅はこぢんまりとしたあたたかい駅でした。この駅にもし縁があったら、ただいま!といいたくなるような懐かしさというか、ぬくもりというか。そんなものがありました。


駅前の道路は旧山陰道。街道の感じが結構残っています。直線じゃないゆるいカーブの道路沿いに並ぶ家々が街道らしいです。サイクリングロードなんかよりはこっちの方が好きです。国道を走っても味気ないのでここからは旧山陰道を進んでいきます。


ちょっと走ると、円山川を越えて播但線の踏切を越し、和田山駅に到着しました。

前回より早く着くことができました。今度からはこっちのルートにしようかな。


和田山駅は山陰線と播但線の分岐駅で、立派な機関庫が残っています。駅前は山が迫っていてコンパクトな感じです。この辺りはなんと信号が縦。道路に消雪の設備もあって、道路は褐色になっていました。冬は雪がすごいんだろうな……と想像しました。


和田山までこれば城崎温泉はあともう少し!


引き続き旧山陰道です。

前回寄れなかった養父駅、八鹿駅にも寄ることができました。八鹿で旧山陰道とはお別れ。早かった。


風が収まったので順調に進むことができた。少し小雨がぱらつき出しましたが、すぐに止み問題ありませんでした。良かった!


国道にもどり、しばらく円山川沿いの道になります。円山川が自分の中では城崎温泉までのラストランのイメージです。ついにここまできた。江原の街を通り過ぎてまた川沿いです。


九日市というところから豊岡の街に入りました。豊岡駅にも寄り、前回押せなかったスタンプなどを押すことができました。久しぶりの大きな街でちょっとうれしい。歩いている人がいるのが新鮮です。

あともうすこし。残り約10kmです


再び川沿いに復帰します。ラストは案外ペース良く行けました。もうあとはひたすら進むだけ。もうすぐ温泉に入れるのか……と思うと心が躍ります。ここまでさんざん向かい風にやられ続けて心が折れそうになりつつもなんとか必死に食らいついて走ってきたので、いよいよゴールが近づくことの喜びといったらありません。

道路を走っていくのはほとんどが車です。自転車で来るやつなんて1人もいません。ただ自分だけでした。ただ、ここまでやってきた苦労があるかないかで温泉のうれしさが桁違いに違うと確信していました。


そして、城崎温泉に到着!!!

いやー遠かった。長かった。つらかった。でもここまでやってこれた。最初は着けると思っていなかったので、今着けたことの感想はうれしいということに尽きます。


とにかく一の湯に直行です。

きれいな街並みは後で見ることにして、今はとにかくお風呂です!


お風呂につかった瞬間、温泉のすごさがみにしみて感じられました。今日一日寒くて冷え切った体が、芯から温まっていく。前傾姿勢のための腰の痛みや使ってきた脚の疲れ、そんなものがするすると不思議にとれていくような気がしました。実際、次の日にはいつもならある残った疲れや痛みがありませんでした。城崎温泉、すごい。こんな感覚は自転車で来た人しか分からない。本当に温泉を満喫させてもらいました。



温泉を出るとあたりは真っ暗。川沿いのあたたかな灯りと並木がいい。さすが温泉街です。

外に出ると、浴衣を着た老若男女が草履をかたかたと鳴らしながら歩いていました。川沿いの景色は適度に明るい照明のおかげで幻想的な雰囲気。たまらない。


帰りは特急こうのとり…‥ではなく普通列車で大阪まで帰ります笑 贅沢は敵です。

というよりは、実は大阪までの最終列車は特急ではなく普通列車乗り継ぎのルートなのです。ゆっくり温泉に入りたくて、普通列車で帰ることにしたのでした。


輪行の用意の後、切符は券売機で買うとして、駅員さんがもういないし自動改札もないからそのまま通るとして……!?ん?電光掲示板になにもない。もう全部の列車が行ってしまったのか!?


実はそういう列車の情報は駅に掲示している時刻表を見ないと分からないのでした。なんと!都会の鉄道便利なシステムに慣れると、こんなことで焦ってしまいます。時間に余裕があって良かった。余裕がなかったらまずかったぞ……。


列車がやってきました。思ったより乗っている人が多く、ボックスはほとんどうまっていました。途中、豊岡、和田山で乗り換えです。今日寄った駅だけども、夜なので何も見えない。和田山から播但線乗り通し。でも何も見えないからこの文章を書くことにしました


ぼーっとしていると寺前、そして姫路に到着。だが、神戸線が遅れているようでその隙に吉野家をテイクアウトしてお腹を満たしました。これが晩ご飯に。結局20分くらい遅れて出発して、回復運転の暴走新快速に乗ることになりました。前の姫路の帰りの新快速も回復のため暴走していた気がするけど、今回の方が度合いが上だった気がしました笑。


大阪まであっという間。といっても4時間くらいかかったかな。それでもやっぱり電車ってすごい。何もしなくても目的地まで安全にたどり着ける。これって本当にすごいことです。自転車旅をすると毎回思います。



今回の旅もなんだかんだで良かったと思いました。城崎温泉への旅は毎回大変なのですが、結局もう一回行きたくなってしまうのです。書いている今でももうすでにそう思います。それだけ城崎温泉は魅力的なところです。私が保証します。


温泉がゴールで、近くに駅があって輪行で帰れるところなんてそう多くありません。城崎温泉はその上格の高い温泉地ですから、うってつけです。

もし、他にそういうところがあれば行ってみたいと思います。


というわけで城崎温泉までの自転車旅でした。