Thunderbird 自転車旅行記

個人的なサイクリング旅の備忘録 サイクリングをしながら鉄道も楽しむ旅へ。よく駅に寄りながら線路沿いをサイクリングしています。現在、サイクリングと並行して駅のスタンプを収集中です。

最強寒波の中!大阪から伊勢本街道経由で伊勢神宮参拝ライド!

コロナも収まってきて、いよいよ気兼ねなくサイクリングできるようになってきたと思ったら、まさかまさかで新型のものが登場し、再びイヤな予感がしてきました。


「なら、行けるうちに行っておこう!」


というわけで年末前になんとかどこかに行こうと思ったわけです。
ちなみに、前回のライドは夏の姫路です。それからはショートサイクリング程度しかやっていないので、今回は本当に久しぶりとなります。しかもロングライドとなると!?


で、行こうとしたわけですが、タイミング良く(?)今季最強寒波が到来!滋賀県の方、特にいつもおなじみの今津では過去最多降雪となって、交通がえらいことになっていました。「不要不急の外出は控えてください」というレベルでしたが、なんとなく「今行かないと行けなさそうだな」という勘がはたらき、最強寒波の中、ライドに出発することになりました。今考えたら、よく行ったもんだと思っています。


装備はダウンジャケットと温かいタイツ、ネックウォーマー2つ、手袋2重、そして登山靴で応戦し、なんとかなりました。


さて、朝は早く5時半ごろに出発です。日の出が遅いのでまだまだ暗いです。今回は大阪を165号で抜けて奈良方面へ行きます。朝ですが結構交通量多めです。


夜も明けてきて、ライトを消灯しつつ、奈良盆地を抜けていきます。盆地なので大阪より明らかに寒いです。今までは中和幹線で抜けていましたが、高架などが多く迂回しないといけないのが面倒なのでもう165号で行ってしまいます。


高田のあたりはなぜか複雑な経路ですが、看板に従ってどんどん進みます。
橿原のあたりで初の水分補給です。冬なのであんまり水が進みませんね。水筒に温かいお茶を入れてきたので落ち着きます。
先日、大和三山へハイキングに行ってきたのでその時の通り道と交差します。左手にはその一つ、香久山が見えます。


この辺りは比較的何度か来たことがあるのでこの辺かーなんて思いながらでしたが、桜井からはいよいよ未知の世界に入っていきます。これまでは、なぜか知りませんが桜井までのライドが多かったのです。


近鉄の高架をくぐるといよいよ山岳区間っていう感じになり、両側に山が迫ってきます。近鉄もこの辺から登りになっていて、向こうで電車が頑張っているのが見えます。結構本数があるのでちょくちょく抜かされます。


ここからのコースどりですが、北から初瀬街道[国道165号など]、伊勢本街道におおよそ並行するルート[国道369号など]、そして和歌山街道(伊勢街道)ルート[国道166号など]があります。今回は伊勢本街道におよそ沿っていきます。が、厳密に沿っていくのではありません。
伊勢本街道ですが、当時の古道が数多く現存していて、地域の人などによって維持が行われて注目されている街道です。今回も、峠などへのアプローチや路肩にある常夜灯などが数多くあり、当時の雰囲気が感じられました。そんな道中です。


大和朝倉を過ぎると中和幹線と合流して大和川と並行していきます。時刻表を配っていないので、これからは駅にはあまり寄りません。ここはならクルのコースになっているようで、ときおり看板がありました。ここがまず1つ目の登りです。分かっていたことですが、今日は平坦な道のりではなかったですね。
登板車線のある坂を登り切ると、宇陀市の中心部に入っていきます。


榛原駅8:30着
ここで今日初めての休憩です。
駅前にコンビニがあるのでここで温かいお茶を購入しておきます。ここから先は本当に何も無さそうなので心配ならここで買っておいた方がいいと思いました。
市の中心部の駅ですが、駅ビルなどもない至ってシンプルな駅でした。構内でもなお白い息が出たのには驚きました。


早く体を動かして体を暖めないと。
いよいよ本格的に山岳地帯に向かいます。とはいっても時折大きな集落があって、道路自体の交通量も少なくないのでそこまで怖くはありませんでした。


だんだん道端に雪があるのが見えてきて、今回恐れていた雪、そして凍結の問題が出てきました。まだまだひどくはないので進んでいこう、と思ったら雪が降ってきました。坂を登っていくにつれて量も増えて行きました。大丈夫かなー?と思いつつ騙し騙し。


次第に、路肩は完全に凍っていくようになりました。道路は消雪剤で雪はありませんでしたが、何かで路肩に行ったら、、、。


一度広い路肩に行って、滑ったらどうなるかを試してみました。すると、こぎはじめでツルッといってしまい、背筋が凍るような気がしました。「凍結って怖いな!」とこの時初めて思いました。
そして、橋の前やトンネルの出入り口にある凍結注意の看板の意味が今ようやくわかりました。これは気をつけないと!


弁財天トンネル9:45
ほんとにゆっくり登って行って、ピークのトンネルにつきました。ここからトンネルが3本連続で続きます。
トンネル内は風もなく滑らないので温かいですが、出ると寒い。
だんだんと路肩の凍っている範囲が白線を超えて道路側に来たので、車の轍の上を行くことにします。この辺は車もそこまで来ません。


さて、下りです。もうゆっくりゆっくりブレーキしながら進みました。ブレーキは後ろがいいそうなので、主にそちらを使いながら。
橋の上なんかは本当に怖いですね。いつ滑るかわからない。とにかくハンドルは出来るだけ真っ直ぐにして進み、なんとか坂を下り切りました。


曽爾村との分岐の交差点からは、鎧岳が姿を見せていました。兜のようなあの形は忘れられませんね。なかなか特徴的なフォルムをしています。

分岐を左に行けば、曽爾高原の方向へ向かうことができますが、今日はこのまま国道369号をいきます。


この辺りが標高的には谷です。ここから再び登りになるわけなので、この辺りで軽食を食べました。身にしみるような寒さです。掲示板は-3℃!寒いわけです。


すぐに御杖村に入って、集落を一つ過ぎ、その次の集落で御杖村の役場が見えてきます。
ここまでは集落の中を抜ける道路と、そのバイパスの国道、どちらを通るかは自由であまり変わりませんが、ここばかりは川沿いの道か、登りか、迷いました。というのも、えー!?みたいな坂があるからです。直線の、ベタ踏み坂みたいな。渋々坂を登りましたが、大変でしたね。


だんだん雪の心配も無くなったので坂を勢いよく降りると、また坂。脚が残ってない。
そしてそれが終わると
道の駅伊勢本街道御杖に到着です。11:30
地元の食材のほか、飲み物や食べ物もあるのでここで買うのもいいかもしれません。温泉の施設もあって、なかなか良さそうです。そして、何より人をひさしぶりに見る。


道の駅を出ると、下りです。
さらっと三重県に入ります。津市の美杉町というところです。

奈良県って大きいなぁって思っていたら、ここは奈良県の右にある出っ張りの部分でした。


ひとつ楽しみなのは、あの駅です。それを楽しみにしていたのですが、、、。あれっ?ないな、、、。と思ったら、通り過ぎていました。右に線路が現れだしたのですぐさま気付けました。危ない危ない。引き返して、第三種踏切の神社踏切を越えると

伊勢奥津駅に到着です。12:00


言わずと知れた、終着駅ですね!2005年に建て替えられて、比較的新しい駅になっていました。駅舎のなかにはノートやスタンプ台があり、アクリルの座布団のある待合室がその隣に。懐かしい駅の代表みたいな感じですね!終着駅ならではの車止標識、そして過去の面影を残す給水塔。いい駅です。


奥津は昔は宿場としてかなり栄えていたようです。今は街道沿いにはのれん街があり、昔ながらの街並みが今も健在でした。

戦前は林業で栄えていたため、その積み荷が名松線で出荷されており、また、街へ出るには当時はこの名松線1つだったそうです。

名松線は数年前に災害から復旧し、全線復活を果たしました。名張までを結ぶという役割は果たせなかったものの、この地域を興すのにこの鉄道という存在がどれほど大きかったのかは計り知れませんね。


駅舎には観光案内所が併設されていて、さらにその向こう側の建物ではお土産などが販売されていました。気さくな方が温かいお茶を出してくださり、心温まります。
大阪から自転車できて、これから伊勢まで行くことを伝えると、この先の道は危ないし、たまに車が通るから気をつけて!と地図付きでアドバイスもしていただき、感謝しかありません。
ここではお味噌とポストカードを購入しました。


なんだかんだしている間に時間は過ぎ、気づけば40分過ぎていました。伊勢奥津行きの列車が12:57着でやってくるようだったので、せっかくなら、と待合室で待つことにしました。待合室には誰もいませんでした。ただ、今まで曇っていたところから日が差してきてひだまりの中で、だったのでいい時間でした。


数分遅れて列車がやってきました。1両編成の、ディーゼルワンマンカー。おそらく18キッパーであろう人が3人ほど降りてきて、いろいろ忙しそうにあれこれ。13:06の発車までは3分ほどしかなかったので、そうなったのだと思います。あっという間に列車は行ってしまいました。降りていく人は誰もいませんでした。
ひらけた山間部の、時折日が差す集落を抜けていく列車とその駅。最高でした!


おっと、時間がまずいことになってきました。今日の日の入りは17時前だったのですが、それ以前に伊勢神宮の参拝時間は17時まで。これはまずいな、、、。


駅からは再び登りです。飼坂峠だとか。これを登れば、今日の主な登りは終わりです。さあ、頑張るぞ。

この峠は街道でも最も難所だったようで、当時の人は苦労したに違いありません。盗賊に襲われないだろうか、、、!なんて思いながらこの峠を越えていったそうです。
一方、私はトンネルまで格闘し、ピークに到着しました。左を見ると、古道とその看板があり、きれいに整備されていました。確かに大切にされている道なんだなあと改めて感じました。


トンネルを越えると、下って上多気(かみたげ)に出ます。道の駅美杉や湧水がありましたが、今回は通り過ぎました。


ここから先は”酷道”区間。しばらくは山間部の2車線道路なのですが、次第に大型車通り抜け不可能なんていう看板が出てきます。

旧道にいた5頭くらいの鹿に驚きつつ、ついに1車線道路へ。とはいってもしばらく酷道感はなく、なんなら建物もあります。

バイパス道路の残骸?のようなものを乗り越すと急に林道のような雰囲気になってきました。しっかり下りなので、カーブミラーを見ながら徐行して行きます。と、車がきました。伊勢奥津の方が言っていた通りでした。
道路の舗装は普通。たまに壊れているのでゆっくり走るのに尽きます。しかもこれが長い。緊張感を保ちつつ、ゆっくり下って行きます。酷道区間では、2台ほど対向しました。


さて、2車線道路が復活。
と思ったら、謎の激坂があって、これを行くとバイパス道路のようなものに出ました。工事中のようです。どうやら先ほどの酷道をバイパスする道路をつくっているようでした。残骸というのは間違いというわけのようです。

先程の峠は仁柿(にがき)峠と呼ばれています。


山岳区間を抜け切ったようで、ここからは下りがメインです。ずーっと下ると、国道と当たります。これは先ほど紹介した国道166号からのもの。竹之内峠の国道がここまできているんですね。伊勢神宮参拝ライドで、こちらから行くルートもありますから、どんな感じか、またいつか行ってみたいですね。


川沿いの平坦な道を進んでいくと、ひさしぶりにコンビニがあったので立ち寄りました。よく考えると、曽爾から何も補給していなかったのでした。なんとなくくらくらしていましたが、回復!ここからはもう坂はないので急ぎます!


ここからのコースどりが、って感じですが、ここで伊勢本街道の出番です。県道をつないで行きます。700号に入って少し行って702号に入ります。ここは要確認。
川を渡り、直線が続きます。421号に自然と合流して高速道路をくぐり、ずーっと道なりです。街道の面影があって、それほど広くない1.5車線くらいの道路脇に所狭しと家が並んでいます。これは飛び出し注意ですね。
線路が右に出てきたら近くの踏切を渡って再び伊勢本街道に入り、道なりです。
このままいくと119号に自然と合流し、いったん本街道とは別れます。
土羽(とば)で左折してビーフロードに入ります。いかにも広域農道っぽいですが、今からの区間は坂はありません。


ここからは快走区間!田んぼの中を突っ切る遮るもののない直線道路を走り抜けます。気持ちいい!

追い風、直線、開放的!このワードは大好物ですね!

さらに、夕陽が田んぼに長い影をつくって、ロマンティックです。つまり、日の入りが近づいている!!


田丸城跡が見えてくると、勝田で左折し、線路を渡り、再び道なりです。やはり街道らしい道のりです。時折常夜灯が残っていたと思います。


そして、大通りに出ます。度会橋、宮川。聞き覚えのある名前、そして見たことのある景色。伊勢に近づいてきました!目的地はもうすぐでしょう!


そして!

外宮到着16:30
多気のあたりから急いでやってきましたが、ちょっと内宮を参拝しようと思えば外宮は諦めざるを得ませんでした。外からですが、拝んでおきます。


急いで内宮へと向かいます。間に合うか!?
勝手は知っている道なので頑張っていき、
内宮到着16:45
結果、なんとか滑り込みで参拝できそうです。正宮だけにしてくださいと言われたものの、中に入れてもらえました。
おそらく日中は人が多かったのだろうけど、今は日も沈んで人もほとんどいませんでした。夕陽に穏やかに照らされ、厳かな雰囲気を取り戻しつつある内宮。砂利を踏み鳴らす音だけが聞こえます。


早足で正宮へと向かい、参拝することができました。よかったー!
正月近いので覚悟はしていましたが、こんな形で参拝することができました。本当にここまできてよかった。


さて、入り口まで戻ってきて駅へと向かいます。あたりはもうほとんど真っ暗。
おかげ横丁にも立ち寄ってみました。営業は17:00までで、お店は軒並みシャッターを下ろしていますが、中からは掃除機の音や片付けの音が。人もほとんどおらず、自転車で普通に走り抜けられるほど。いつもと違う、舞台裏のような一面を垣間見ながら、後にしました。


帰りの駅は宇治山田駅。18:00着
というのも、行きたいところがあったからです。それは、まんぷく食堂。他の自転車ブログの方が行っているのをみて、ぜひ行ってみたいと思い、行ってみました。店の裏に自転車を止め、入店です。新福定食は、ミニ唐揚げ丼と伊勢うどんで800円。店内は年季を感じる昭和の食堂みたいな雰囲気でした。換気扇がガンガンまわっていて、席から作っている様子がよく見えました。


やってきた定食ですが、めっちゃ美味しそう。唐揚げ丼は、ご飯の上に唐揚げをたまごでとじ、コショウを仕上げにかけたオリジナル丼。なかなか食べ応えがあって、味付けもしっかりしていてガツンとうまい!
伊勢うどんのほうは、長めにゆでた柔らかめのうどんと、しょうゆのたれでいただきます。これまたうまい!ツルツルッと食べやすく、しょうゆが効いて丼と交互に食べると幸せでした。
なかなかの量で、これで800円は非常にすごいと思います!また伊勢に来た際は食べに来たいと思いました。


店主の方がこれまた気さくな方で、フレンドリーなんです。大阪から自転車で来たことを告げると、「あほやな兄ちゃん」みたいな感じの後、さまざま話してくださいました。
自転車ノートなるものが店にあり、そこにはこれまでにここまで自転車で来た人たちが残した軌跡がありました。松阪からきた人が多く、そして日本一周の中で来た人も!私もそのノートに書き込ませていただきました。
まんぷくになりました!ごちそうさまでした!


そうすれば、あとは帰るのみです。
近鉄特急にこの前感動したので、今日も特急で帰ることにしました。自転車も置きやすいですからね。
時間的にも余裕があったので、お土産を買いつつ、輪行しつつ、そして地元の人とお話ししつつ。だいぶ前に、東京から1日でここまでやってきて、ここから輪行していったそう!キャノンボールの変化形みたいなことをやった人がいたのかなあ??
今回の走行距離は160kmほどでしたが、それには遠く及びませんね!


列車はビスタカーです。何より思ったのが、あったかい!!!ということでした。今まで散々寒いところにいたのでこの感動は忘れられません。そういえば、伊勢は他の奈良よりかは暖かかったように思いました(相対比ではありますが)。
特急なので外のドアが開いても中のドアはそのままなので、温かさが保たれます。快適な車内で、外の景色、、、は暗いので見えませんが、静かな車内でゆっくりしました。2階席だったので、見える景色が高い。なぜか優越感?


途中通った所も通りますが、どれも一瞬。電車はすごい。いつも思うことです。
三重から、奈良、そして大阪へと帰ってきました。なかなかすごい旅だった。


今回は久しぶりのライドということもありましたが、最強寒波の中ではありましたが、人の温かさに触れることができた、そして伊勢神宮に無事参拝できた、そんな素晴らしいものになりました。感動的な旅になりました。
そんな、伊勢ライドでした!
また行きたいと思います!