切符運賃の謎 大阪駅編
JR線、阪急、阪神、地下鉄御堂筋線、谷町線、四つ橋線が集結する日本を代表する駅の一つ、大阪駅。
利用客が多いがために、その運賃も工夫される一方、それで生じた“歪み”もあり、なかなか面白い。そんな大阪駅の運賃の謎を紹介していきたい。
大阪駅 運賃表↓
JR編
1.異様に高い京都〜山科
2.高槻の壁 宝塚の壁
3.あと10円あれば……甲南山手と神戸
4.経路が重要 加美と新加美
大阪メトロ編
5.梅田→なんば、天王寺の運賃制が絶妙すぎて困る
1.異様に高い京都〜山科
運賃表をみると、大阪から京都までは570円だが、一駅先の山科までは860円ということになっている。つまり、300円近く高い。確かに駅間距離が長いのが原因かもしれないが、それにしても大津までは990円に収まっている。これは何か理由があるはずだ。
これには2ステップの理由があると考えられる。
まず、通常の運賃を考えてみる。京都までは42.8kmであるので幹線運賃は770円となる。
また、全区間が大阪の電車特定区間に入っているので通常より割安となり、730円となる。
さて、実際には運賃はさらに安い。これには、特定運賃が関係している。
京都までの並行路線として阪急や京阪がある。いずれも所要時間はJRにおとるものの、運賃の面では、阪急は大阪梅田→京都河原町で400円、京阪は京橋→七条で410円である。これに比べるとJRの運賃は結構高い。
この差を埋めるために、特定運賃として特別に運賃を安くしている。
さて、京都を出ると特にライバルはいなくなる。つまり、特に運賃を安くする必要がなくなってくるため、元の運賃制に戻ることになる。
山科はさらに大阪の電車特定区間に入っていないのでもう一段運賃が高くなる。よって、300円近くの差が生まれることになったのである。
この差を解消するには、切符の分割購入という方法がある。
例えば、大阪から京都と京都から山科までの切符を分割して購入する。この時、前者は570円、後者は190円となり、合計で760円となる。
分割しなかった時に比べ、100円安くなる。
大阪駅で大阪から京都までの切符を、山科で2枚の切符を同時に自動改札機に入れると精算されるので、特に煩雑でもなく実戦的な節約術といえると思います。
このように、切符を分割購入すると運賃総額が安くなることがあり、これを調べるサイトもあるので、調べてみると面白いです。
ただ、近距離では安くなっても100円くらいが限界だと思います。
2.高槻の壁 宝塚の壁
これも1.と同じく特定運賃が関係します。
大阪から高槻、宝塚にはそれぞれ阪急線が並行しているので、基本的に運賃が高いJRは運賃を下げなければなりません。
そのため、大阪から高槻は21.2kmで大阪の電車特定区間なので本来は400円ですが、特別に260円になっています。
大阪から宝塚も、同様に470円を特別に330円にしています。
ところが、これは「無理をした」額なので、ある程度のところで元に戻ります。
主要駅の高槻を過ぎた次の駅、島本までは470円(高槻:260円)、並行線が無くなった宝塚の次の駅、生瀬までは510円(宝塚:330円)というように、運賃が大きく上昇します。
3.あと10円あれば……甲南山手と神戸
これも特定運賃が関係します。
JR神戸線は阪急、阪神線と競合関係にあるので運賃を安くします。
結局安くなったのは、大阪→六甲道〜神戸の区間で、全て410円です。
逆にいうと、六甲道より大阪寄りの住吉などの駅までは大阪の電車特定区間の運賃が適用されるということで、ちょっと安くなる程度です。
ここで、歪みが生じます。
六甲道より手前の駅に甲南山手があり、ここまでは400円です。(初めて400円になる駅)
ところが、特定運賃で神戸まで410円で行くことができます。つまり、さらに10円あれば、甲南山手から神戸間、実に12.5kmを移動できることになります。
なかなか歪んでます。(笑)
4.経路が重要 加美と新加美
大阪市の外れに、大和路線の加美とおおさか東線の新加美があります。ほぼ同じ位置にあるので実用上は同じ駅とみなせます。
ただ、大阪から加美までは310円なのですが、新加美までは220円ということになっています。
もし仮に同じ駅であるとするなら、この2駅は共に大阪近郊区間内なので、運賃は最短経路で計算されて共に同じ料金になるはずです。
しかし、この2駅は運賃計算上は全く異なる駅ということになっているので、それぞれの最短経路で運賃が決まります。
そのため、
大阪→加美 16.4km 310円
→新加美 15.0km 220円
所要時間は接続にもよりますが大きくは変わらないので好きな方を選べば良いだけの話ですが、なんとも不思議です。
5.梅田→なんば、天王寺の運賃制が絶妙すぎて困る
このことは以下の記事に掲載したのでよければ読んでみてください。
切符運賃の謎 天王寺駅編も興味があれば読んでみてください。
なかなか奥が深い切符の世界!
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