Thunderbird 自転車旅行記

個人的なサイクリング旅の備忘録 サイクリングをしながら鉄道も楽しむ旅へ。よく駅に寄りながら線路沿いをサイクリングしています。現在、サイクリングと並行して駅のスタンプを収集中です。

切符運賃の謎 天王寺駅編

大阪環状線、阪和線、大和路線、近鉄南大阪線、地下鉄御堂筋線、谷町線、阪堺線など、交通の要衝で、常に多くの人が行き交う天王寺駅。ここから各地へ移動することも多いでしょう。この時に気になるのが「切符の料金」。運賃表を見ると違和感があることもしばしばあります。それがどんなもので、なぜそうなるのか。書いていきたい。
*随時更新


※これは一種の切符鉄の楽しみでもあーる。
コロナ禍ではあるが、空想鉄の活動が制限されることは全くない。


天王寺駅 運賃表↓



JR編
1. 天王寺→和歌山の運賃の事実
2. 天王寺→奈良・平城山の高すぎる金額の差
大阪メトロ編
3. 天王寺→なんば、梅田の運賃設定が絶妙で困る件



1. 天王寺→和歌山の運賃
阪和線は天王寺〜和歌山間を結ぶ路線で、朝は堺や和泉、泉州、和歌山方面からの利用客で大変なことになっている。また、南海線とほぼ全線で並行しているので互いに意識せざるを得ない状況になっている。これがポイント。


天王寺→和歌山の運賃は870円である。
ただ、これはよく考えるとおかしい。
というのは、この区間は61.3kmであり、阪和線は幹線なので、本来1170円の区間。だが300円も安い。
これには2ステップ考える必要がある。


まず、この区間は大阪の電車特定区間なので、普通運賃よりも安くなっており、61.3kmは1100円。しかし、まだ安い。



次に、特定運賃を考える。これは、並行する他の私鉄線との運賃差を減らすためのもので、特別にさらに安い運賃制となっている。今の場合、阪和線は南海線と並行しているのでこれと比べて安くしているという事情がある。


対抗する南海新今宮→和歌山市は890円であることから、確かに適した料金であることが分かる。これがJRが幹線料金の1170円だった場合、ほぼ間違いなく客は南海に流れるだろう。


ちなみに、和歌山から先、紀三井寺、海南方面には幹線料金が適用される。したがって、和歌山までは870円だが、その一駅先の宮前までは1170円となり、かなりの差がある。切符を和歌山で分割して購入すると100円くらい安くなるはずなので、それをしない手はない!


また、特定運賃は天王寺〜百舌鳥→和歌山で870円である。つまり、天王寺から和歌山までの料金と三国ヶ丘から和歌山までの料金は同じということになる。なんとなく損した気分かも?



2. 天王寺→奈良、平城山の運賃
天王寺から奈良までの運賃は470円であるが、その一駅先の平城山まではなんと770円。実に300円も高い。これも、1.と同じく特定運賃によってこのようなことが起こっている。


その前に、なぜこの運賃が設定されたのか。


天王寺から奈良は近鉄奈良線と競合している。
さすがに天王寺からであればJRで奈良まで行った方が早く乗り換えもないが、実は所要時間としては10分も変わらない。さらに奈良の中心へは近鉄奈良駅が近いことを考えると、そこまで時間差がないと見ることもできる。


もし仮に特定運賃がなかったとする。
天王寺から奈良は37.5km、さらに大阪の電車特定区間に全区間入っているので少し安くなって650円。


一方、近鉄奈良線を使った場合、
天王寺→鶴橋 130円、鶴橋→近鉄奈良 500円で
計630円となる。


つまり、近鉄に客が流れるのは間違いない。そのため、特定運賃が定められているのである。なるほど。


結局、JRのみだと470円、近鉄経由で630円となるので、じゃあJRで行こうかという気になる。


さて、奈良から先は競合もいないのでそんな得な制度はありません。奈良から先は特定運賃もなく、大阪の電車特定区間でもないのでただの幹線区間になるので一気に運賃が上がってしまいます。
そのため、天王寺から奈良までは470円ですが、その一つ次の駅、平城山までは300円アップの770円となる。


この差を埋める方法として、1.と同様に分割して購入する手がある。天王寺から奈良までの切符(470円)と奈良から平城山までの切符(190円)を買うと、合計で660円となり、100円安くなる。これはでかい。


2枚の切符のうち、天王寺では奈良までの切符1枚を、平城山では2枚の切符を同時に、それぞれ自動改札機に入れるとこれで精算される。
これはICカードを使うと一旦奈良で出て入り直す必要があるため、切符の方が便利である。


この区間に限らず、切符を分割すると思いのほか安くなることがあり、これを検索するサイトもあるのでぜひやってみたいところ。


ただ、近距離では100円くらいが割引の限界。



3.天王寺→なんば、梅田の運賃
特に、確かな理由があるわけではないが明らかにあからさまなので紹介したい。


まずは単純に料金を紹介。 


御堂筋線の場合(ただし、梅田までの料金は同じ)
天王寺→動物園前、大国町:180円
   →なんば、心斎橋、本町、淀屋橋:230円
   →梅田〜新大阪、東三国:280円


御堂筋線でも特になんば駅、梅田駅は利用客が多く、確かに天王寺からこれらの駅に行くことも多い。
しかし、よく考えるとちょうどなんば、梅田までの時に運賃が上がるようになっている。怪しい。


推測ですが、たぶんこれが一番儲かる運賃制なのでしょう。そして、これに合わせて他の路線も定めていったのかもしれません。


実際、大阪メトロの運賃は以下のように決められています。


1区 〜3km以下 180円
2区 3kmより長く、7km以下 230円
3区 7kmより長く、13km以下 280円
4区 13kmより長く、19km以下 330円
5区 19kmより長い 380円


ちなみに、
天王寺〜なんば間は3.4km
天王寺〜梅田間は7.5km……。


では、13kmっていうのはどこから来たのか?
これで新大阪までが13. …kmであれば間違いないですが、さすがにそうではありませんでした(笑)。


大阪市内から少し遠くて乗降者数が多い駅には、江坂やなかもずなどがありますが、あまりよくわかりませんでした。
ちなみに、なかもずからなんばが14.0km、江坂からなんばが13.9kmでちょうど運賃が上がるところにあるのですが、あまりよくわからず。






奥が深い切符、運賃の世界。
これからも深掘りしていきたい。




切符運賃の謎 大阪駅編もよければ読んでみてください。